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IBM Cloud のインフラ系サービスを効果的に活用するための実装方法と重要ポイントを整理し、システム開発の効率化を支援するガイド。

IBM Cloud を活用したシステムの企画・設計・構築に関与するプロジェクト参加者全般を対象とし、クラウドの評価・設計・運用を効率的に行うためのガイド。


IBM Cloud: ビジネス向けの安全で柔軟なクラウド、SaaS・PaaS・IaaSを従量課金で提供!


IBM Cloudは、オープンソース活用に優れたパブリッククラウドで、高い信頼性と業界最高レベルのデータ保護を提供します。主要な特徴は、Kubernetesクラスターの広範な導入、強化されたセキュリティ機能、そして企業向けのミッションクリティカルなワークロード対応です。また、AIやブロックチェーン、量子コンピューティングなどの先端技術にも対応しています。
ミッションクリティカルなワークロードとは、企業や組織の重要な業務を支えるシステムやアプリケーションで、これが停止したり障害が発生すると、業務全体に深刻な影響を及ぼす可能性があるものを指します。例えば、金融取引システムや医療機器管理システムなど、業務の継続性が最優先されるシステムです。

IBM Cloudは、業界屈指のサービスを提供するクラウドプラットフォームで、以下のような特徴があります。
- ベアメタル・サービスとデータセンター間の高速プライベート回線を無償で提供
- 次世代のハイパースケールVPC(VSIで最大200Gbps)をサポート
- Kubernetes基盤で1,000社、16,000クラスターの実績
- 170種類以上のサービス(Watson、DBaaS、各種SaaS)を提供
- Power Architectureを東京/大阪リージョンから提供
- IBM Cloud for VMware Solutionsにおいて、2,000社以上の実績
- IBM Cloud Paks環境によるコンテナ化されたIBMソフトウェア
- FIPS 140-2 Level 4認定の鍵管理サービス
- SAP認定のSAP on VMware構成を提供
- オンプレやエッジ環境でも利用可能なサービス
- 世界初の金融サービス向けパブリッククラウド
これにより、企業の様々なニーズに対応した柔軟で安全なクラウド環境が提供されています。
Power Architectureは、IBMが開発した高性能なプロセッサアーキテクチャで、主にIBM Power Systemsサーバーで使用されます。これらのプロセッサは、大規模なデータ処理や高性能計算を必要とするシステムに適しており、金融機関や科学技術計算などのミッションクリティカルなアプリケーションに利用されます。
IBM Cloud for VMware Solutionsは、VMwareという仮想化技術を利用したクラウドサービスです。VMwareは、サーバーやアプリケーションを仮想化して効率的に管理できる技術で、これをIBM Cloud環境に統合することで、企業が既存のVMware環境をクラウド上で引き続き使えるようにします。
主な特徴:
- 既存のVMware環境をそのままクラウドに移行できる。
- オンプレミス(自社のデータセンター)からクラウドにシームレスに移行でき、複雑さを減らす。
- IBM Cloud上でのVMware製品(vSphere、vSAN、NSXなど)をフルサポート。
- ハイブリッドクラウドで、オンプレミスとクラウド環境を統合して管理できる。
つまり、VMwareを使っている企業が、IBM Cloudを活用しながら、既存のシステムをそのままクラウドに移行したり拡張したりするためのサービスです。
IBM Cloud Paksは、企業がアプリケーションをクラウドに移行・管理するためのソフトウェアパッケージで、特にコンテナ化されたアプリケーション向けに設計されています。これにより、企業は効率的なアプリケーション開発や運用管理を実現できます。
主な特徴:
- コンテナ化されたソフトウェア: IBM Cloud Paksは、アプリケーションをコンテナ化して、クラウド環境で簡単に展開、管理、スケールできます。
- Kubernetes対応: Kubernetesを基盤として、マイクロサービスやモダンなアーキテクチャを採用し、柔軟でスケーラブルな運用が可能です。
- エンタープライズ向け: データ管理、AI、セキュリティ、統合、分析などの機能を提供し、企業のニーズに対応。
- ハイブリッドクラウド対応: オンプレミスとクラウド環境を統合して、どこでもアプリケーションを実行できます。
つまり、IBM Cloud Paksは、企業がクラウド上でアプリケーションを効率的に開発、管理、実行するための一連のツールとサービスを提供するパッケージです。

IBM Cloudは、企業のクラウド移行とデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するクラウドサービスです。以下のように、さまざまなアプリケーションやシステムに対応しています。
- 従来型アプリのクラウド移行
従来のモノリスアプリをそのままIBM Cloudに移行することで、迅速な移行を実現します。
- コンテナ化されたレガシーアプリ
従来のアプリケーションをコンテナ化し、クラウドネイティブ化を進め、ステートレスなアプリケーションをより効率的に運用します。ステートフルなアプリはそのまま利用できます。
- アジャイル運用の実現
既存のアプリケーションをクラウドとサービス連携させ、CI/CD(継続的インテグレーション・デリバリー)の仕組みを確立し、アジャイルな運用を支援します。
- クラウドネイティブアプリの再構築
アプリケーションをお客様のペースで再構築するか、マイクロサービス、コンテナ、DevOpsツールを活用して、新しいクラウドネイティブアプリケーションを構築します。
これにより、IBM Cloudは企業の既存システムをクラウドに移行するだけでなく、新たなクラウドネイティブアプリケーションを作成し、柔軟かつ効率的に運用するための支援を行います。

IBM Cloudは、さまざまなプラットフォームやオペレーティングシステムをサポートするクラウドサービスです。これにより、企業は自身の既存システムや新しいシステムをクラウド上で柔軟に運用できます。主に以下のプラットフォームがサポートされています:
- IBM Z
IBM Zは、ミッションクリティカルなワークロードや高可用性が求められるシステムに対応するプラットフォームです。
- Intel/AMD x86
一般的なx86アーキテクチャを基にしたインフラで、幅広いアプリケーションに対応します。
- IBM Power
高性能な計算が求められるアプリケーションに適したプロセッサを搭載したIBM Powerシステムをサポートします。
- VMware
VMware環境をクラウドに移行し、仮想化技術を活用した運用が可能です。
- IBM i、AIX、z/Linux
これらはIBMのオペレーティングシステムで、特にエンタープライズ向けの重要な業務アプリケーションに使われます。
- Windows、Linux、z/OS
WindowsやLinux、z/OS(IBMのメインフレーム向けオペレーティングシステム)など、さまざまなOSに対応しており、柔軟なシステム運用を実現します。
- IBM Quantum
IBMは量子コンピューティング技術も提供しており、将来的な計算能力向上のためにクラウドベースで量子コンピュータを利用することもできます。
これらのプラットフォームやOSに対応することで、IBM Cloudは幅広い企業のニーズに応え、異なるシステムやワークロードを一元的にクラウドで管理できます。

IBM Cloud のインフラは、元々**SoftLayer Technologies Inc.**のサービスを基盤にしており、IBMが2013年にSoftLayerを買収したことから始まります。SoftLayerは2005年に設立されたIaaS(Infrastructure as a Service)専門のクラウドサービスで、IBM Cloudの基礎を作り上げました。
IBM Cloudの歴史:
- 2005年: SoftLayer設立。IaaS専用のクラウドサービスを提供。
- 2011-2014年: **SCE (SmartCloud Enterprise)**が登場。企業向けクラウドサービスが提供される。
- 2011-2014年: BlueMixが開発者向けPaaS(Platform as a Service)を提供。
- 2013年: IBMがWatsonを導入。人工知能技術がクラウドサービスに加わる。
- 2013年: IBMがSoftLayerを買収し、同年からSoftLayerを基盤としたクラウドインフラが提供される。
- 2016年: Bluemix、PaaS、SaaS(Software as a Service)が統合され、IBM Cloudのブランド名が使用される。
- 2017年11月: IBM Cloudとして正式に統合され、現在のクラウドサービスが提供される。
このように、IBM CloudはIaaSからPaaS、SaaS、さらにAI(Watson)を統合することで、幅広い企業のニーズに応えるクラウドサービスへと進化しています。

IBM Cloud のインフラは、世界中のデータセンターとアベイラビリティ・ゾーン(AZ)を活用して、高い可用性と信頼性を提供しています。特に、**MZR (マルチ・ゾーン・リージョン)**対応のエリアを中心に構成されています。
IBM Cloudのインフラ構成:
- MZR対応エリア:
- 対応エリア例:ダラス、ワシントンDC、ロンドン、フランクフルト、東京、シドニー、大阪、トロント、サンパウロ、マドリードなど。
IBM Cloudは、30拠点のアベイラビリティ・ゾーン(AZ)を有する10のマルチ・ゾーン・リージョン(MZR)で構成されています。これにより、障害発生時でも別のゾーンにバックアップをとることでサービスの継続性を確保します。
- クラウド・データセンター:
- ダラス (2)、サンノゼ (3)、ワシントンDC、モントリオール、メキシコシティ、パリ、アムステルダム、ミラノ、チェンナイ、シンガポール、ロンドンなど。
IBM Cloudは、以下の拠点を含む14拠点のクラウド・データセンターを運営しています。
- 合計拠点数:
世界で合計49拠点があり、そのうち18都市にサービスが提供されています。
- 日本における展開:
- 東京リージョンには3つのデータセンターが提供されており、大阪リージョンも2020年9月に開設されました。
この広範なインフラ構成により、IBM Cloudは世界中で高可用性と災害対策を提供し、企業のクラウド移行を支援しています。

IBM Cloudのインフラは、POP(接続ポイント)を使って、データセンター同士を高速専用線でつなげています。インターネットもAS(自律システム)を通じて繋がっており、もし遠くのデータセンターにアクセスする場合でも、最寄りのPOPを経由することで、普通のインターネット接続よりも速く、安定した通信が可能です。

IBM Cloudのインフラでは、**マルチ・ゾーン・リージョン(MZR)**という構成を採用しています。これは、3拠点以上の物理的に隔離されたゾーンを持つ地域で、各ゾーンが独立した電気系統やネットワーク機器で運営されているため、障害に強い構造になっています。
- ゾーンの特徴:
- 各ゾーンは物理的に分離され、他のゾーンとの共有障害点は存在しません。
- ゾーン間は広帯域、低遅延ネットワーク(1000Gbps超、2ms以内)で接続され、迅速で安定した通信が可能です。
この設計により、クラウド上のワークロードは複数のゾーンに分散され、高い耐障害性を実現しています。

IBM Cloudの東京リージョンは、3つのデータセンター(DC)、3つのアベイラビリティゾーン(AZ)、**2つのポイント・オブ・プレゼンス(POP)**で構成されています。これにより、障害に強く、安定したインフラが提供されています。
- ネットワーク通信:
- Classic Infrastructure環境では、異なるデータセンター間の通信が無料。
- VPC環境では、同一リージョン内のゾーン間通信も無料。
- データ転送従量課金制なしで、グローバルなシステム構築が比較的低コストで可能です。
また、インターネット接続は、BBIX TokyoやEquinix Tokyo、JPNAP Tokyoといった公衆ピアリング交換を通じて行われ、安定した接続が提供されています。
POP(Point of Presence)は、インターネットやクラウドサービスの中継点です。POPはデータの転送を高速化し、ユーザーとサービス間の接続を安定させる役割を持っています。特に、複数のネットワークをつなぐ中継点として、データをより効率的に転送できるようにするため、通信の遅延を減らしたり、帯域幅を増強したりします。これにより、より速く、安定したデータ通信が可能になります。

IBM Cloudの大阪リージョンは、以下のように構成されています:
- データセンター (DC): 1つ
- アベイラビリティ・ゾーン (AZ): 3つ
- ポイント・オブ・プレゼンス (POP): 1つ
大阪リージョンは、1つのデータセンター内で3つのゾーン(AZ)を持っているため、これを**シングルキャンパスMZR(Single Campus MZR)**と呼ぶことがあります。
この構成により、大阪リージョンは比較的小規模ですが、高い可用性を実現するために、ゾーン間で冗長性を持つ設計がされています。インターネット接続は、BBIX Osaka, JPIX Osaka, JPNAP OsakaのPublic peer exchangesを通じて提供されます。
シングルキャンパスMZRの実現手法は、1つのデータセンター内で複数の**アベイラビリティ・ゾーン (AZ)**を構成することにあります。具体的な手法は以下の通りです:
- 物理的に隔離されたゾーン: 各AZは独立した電力供給、冷却、ネットワーク機器を持ち、他のゾーンと共有しません。これにより、1つのゾーンが障害を起こしても、他のゾーンには影響を与えません。
- 高速なネットワーク接続: 各AZは、1000Gbps以上の広帯域で接続されており、非常に低い遅延(2ミリ秒以内)でデータ通信が行われます。これにより、ゾーン間でリアルタイムのデータ転送が可能となります。
- データ冗長性と負荷分散: 各AZに分散してワークロードを配置することで、特定のAZに障害が発生しても、他のAZが自動的に負荷を引き受けることができます。この冗長性によって、システム全体の可用性が向上します。
このように、1つのデータセンター内で複数のAZを運用することで、高可用性と耐障害性を確保し、効率的なリソース管理と運用が実現されます。


SoftLayer時代のLooking Glassツールは2018年以降更新されていませんが、現在はネットワーク遅延の平均値を表示するダッシュボードや、tracerouteなどのツールが提供されています。最新情報が必要な場合は、各データセンターで実測することが推奨されています。

IBM Cloudは、再生可能エネルギーの利用拡大やエネルギー効率の向上を目指し、環境保護に積極的に取り組んでいます。2030年までに全データセンターの90%の電力を再生可能エネルギーで賄うことを目標としています。





- 作者:みなみ
- 链接:https://www.minami.ac.cn//%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/144d7ae8-88e2-8034-b59e-e71854f7c23d
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